オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび513

時間軸に自由な音楽、空間を染める音楽2

 


集団で音楽を共有する時には、テンポや拍子間が必要になってくる。盆踊りの太鼓、宴会の手拍子だって同じ類いでしょう。でもより一斉に「せえーの!」が必要になってきたのはハーモニーの美しさに気づいてからだと思います。

ヨーロッパ音楽の変遷を辿っても、緩い感じのグレゴリオ聖歌はユニゾンでしたが、ルネサンスポリフォニーになると互いに聴き合いながらハーモニーを楽しみ始めます。パレストリーナとか本当に美しい! そしてシンフォニーへ。ジャーンと響くために指揮者が登場して、リードするようになりました。この響きに明治初期の音楽愛好者は一発KOだったのですね。

でも800年もの歴史を経ている西洋とわずが150年あまりで身につけようとした日本のハーモニーに対する楽しみ方は、まだいくらか違っているようです。とりわけ自らがハーモニーを創り出す主体となる姿勢において。

私はハーモニーは空間というキャンバスを染める行為だと思っています。だから間や余韻という時間軸の遊び方を犠牲にして、同時に空気が染まる美しさを楽しんでいる気がするのです。一番実感できる楽しみ方は、やっぱりアカペラコーラスでして、人の声で空間が鳴り響いた時の感動は代え難いと思っています。