オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび514

漫画ワンピースが訴えかけるもの

 


唐突な言い方かもしれないが、ウクライナで起きていることと、ワンピースのテーマは被っている。この漫画は力による現状変更や制圧に対する抵抗を絶えず描き続けていたのだ。魚人への差別、天龍人という特権階級への憎悪、革命軍の存在、毒ガスという大量殺戮兵器の封印etc・・そして麦わらの海賊団は常に現状に苦しんでいる人々と共に戦ってきた。ほとんど単独で戦ってきたように見えて、父親が率いる革命軍やドレスローザでドフラミンゴに苦しめられていた人の中には思いを共にする人たちがいる。

そして、とうとうルフィのゴムゴムの実が、前章ワノ国編のカイドウとの戦いで覚醒した。ルフィの表情がまったく別の人間のように変わってしまい、不思議な力(=最もふざけた能力)を発揮し始めたのだ。

連載当初から作品を流れるテーマは「自由と解放」。これは現実の人類史においても一貫して、語られているわけですね。海賊、権力から距離を置く=反権力的な存在を主人公に据えることで、物語はスタートした。ルフィは「海賊王に俺はなる!」と叫んでいるが、これは何者にも縛られない自由な生き方を目指しているという意味で、誰かの上に君臨するわけでない。麦わらの海賊団が人々を解放した国はたくさん描かれているけれど、何せ賞金首なので海軍が来ないうちに逃げなければならない。そのシチュエーションは泥棒なのにヒーローであるルパン三世と似ている。時折海軍と衝突するが、本気で海軍との正面衝突はしない。正義を掲げている海軍に対して、革命軍のように別の理念を掲げて対抗しているわけではないのだ。だから逃げる。

ワンピース=ひとつなぎの財宝とは何なのか? ルフィ以下鍵を握る人物に共通するDの一族とは? 800年前の失われた100年に何が起きたのか? 世界政府の頂点に立つイム様とは何者なのか? などまだ大本命の謎は明かされていない。けれど大きな喜びをもって、待ち望んだこれらの謎が解き明かされる時が来る。そんな展開を私は予想している。痛々しい描写も多いが、ワンピースは常に苦悩を通しての歓喜を語ってきたのだから。