オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび519

川口マーン恵美「ドイツの脱原発がよくわかる本」を読む

 


本書を読んで、ぼんやり思うのは、この先も電気に依存した今の生活を維持できるのだろうか? という漠然とした不安。

ドイツが凄い速さで脱原発へ舵を切って、電力供給でどのように供給源のバランスが崩れたのか。夜間や雨の日、風が吹かない日に弱い再生可能エネルギーをバックアップするために結局化石燃料に頼ってしまう、CO 2削減から遠のいてしまうジレンマなどが語られる。

不思議なのは、聡明なドイツ人がなぜこのように追い詰められることを見通せなかったのか? 論理的思考の達人に見えて、実は瞬間的に感情をコントロールされやすい傾向を持っている人が多いのかもしれない。それが根強い原発アレルギーを生んでいるのではなかろうか? もちろん日本人だって対岸の火事とは言えない。先を走るドイツの葛藤や矛盾は、そのまま日本のかがみでもあるのだから。

本書てはふれていないけれど、再生可能エネルギーの中で、洋上風力発電が日本でもようやく脚光を浴び始めていると聞く。太陽光発電に比べて、風は夜も吹いているし、日本は季節風が吹く地域なので風はほとんど一年中吹いている。火力発電の化石燃料高騰や原子力発電の廃棄物処理の問題がひょっとするとクリアーできるかもしれない。

もう一つは、エジソンが電力産業を始めた頃から150年、一貫して一度作った電気はストックしておくことができないでいる。もし電気を貯めておくことができるなら、綱渡りのような需給バランスから解放されるだろうに。

著者はドイツと日本の電力政策の比較から、日本に適した方法を探るべきと力説している。生活に直結する大事な課題について、よい学びの機会となりました。

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