小川和久「日米同盟のリアリズム」を読む2
北朝鮮に続き、中国の話題。最近の南シナ海への進出、日本にとっては尖閣諸島を含む東シナ海での動きは、頻繁にニュースで報じられている。筆者は人民解放軍が国の軍隊ではなく、共産党の軍であるところが中国独自のシビリアンコントロールであると言う。
中国は社会主義の理想とは、かなり遠い格差に悩まされている。当然共産党指導部への不満も燻り続けている。国内の不満を逸らす常套手段が国民の目を外国へと向けさせることなのだ。アメリカも一昔前まではジャパンパッシングで日本に意地悪をしていたではありませんか! とは言え中国軍が日米同盟と正面衝突をしたらドエライことになってしまうので、相手が本気にならない範囲で挑発を繰り返しているのです。そんな状態をいつまで続けるつもりなのかはわかりませんが。
中国軍には、三戦という言葉があるらしい。輿論戦、心理戦、法律戦の三つ。ある意味さすが四千年の歴史を持つ国とも言えるが、感心している場合ではない。心して対峙するべきは私たち自身なのだから。
世界が平和であることを願う気持ちは、誰もが持ち続けるべきだと思う。ただとても残念なことに現実は世界平和が実現したとは到底言い難い。ならば戦争を抑止する核抑止以外の方法とは何なのか?
核に頼った平和維持がリアルな現実だと、仮に認めざるを得ないとしてもそれを突破できる政治思想が生まれなければ、やはり人類の未来は長いことはないだろう。