オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび538

和田美代子「声のなんでも小事典」を読む

 


小事典となっているが、声に関するQ&Aを71項目列挙して、声に関する疑問や悩みについて解説していく仕組み。ボク的にはつまみ食い的に、気になった項目について手を伸ばしてみたい。

NHKに「おかあさんといっしょ」と言う長寿番組があり、ボクが小さかった頃から放映されている。歌のおにいさん、おねえさんが登場するが、概して高めの声で子どもたちに話しかけている。声の高さを子どもたちに合わせているのだろう。歌のお爺さん(←ちょっとキモい)のボクも子どもたちと歌うときは原則ファルセットにして高さを合わせていた。高めの声で歌うと子どもたちも明るく澄んだ声で歌ってくれるような気がしている。

続いて日本人が好む声の高さが時代と共に変わる話に。邦楽研究家の竹内道敬さんの名前が登場する。甲高い声が主流になりつつある音楽界だが、甲高い声より低い乙な声が好まれていた時代があった。そう言えば日本声楽の元祖であるお坊さんたちの声明は低い音響であるし、琵琶うたの譜付けにも中干とか大干とか出てくる。この干は甲高いのカンと関係がありそうだ。

さらに琵琶うたには、産字と言う語尾の母音に節を付けて伸ばす歌唱法があるのだけど、本書では木造建築の残響がない環境下で、自分で自分の声にエコーをかけているのだと言う。

ボクが興味をもった箇所のみについて触れましたが、声のメンテナンスについても多くの頁を割いていて、声を商売道具にしている方にはお奨めの本です。

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