祝田秀全「建築から世界史を読む方法」を読む1
世界史のテキストには、建築様式の移り変わりが記載されている。ビザンツ様式→ロマネスク様式→ゴシック様式という具合。
でもビザンツの前に、すばらしい建築群を残した帝国を私たちは知っている。その名はローマ帝国。
テルマエ・ロマエという漫画がヒットしたけれど、ローマ人が入浴していたあの水はどこから引いてきたのだろう。そう、ローマ帝国の遺跡には今もヨーロッパ各地に残る水道橋があるのです。道を造ると同時に水道を引かなければ、そこには人は集まってこない。それをローマの皇帝たちはよく理解していて、建築という公共物をローマ市民はもちろん、属州の人々にも提供したのです。世界遺産の巨大な水道橋、フランスのポン・デュ・ガールご有名ですが、地下を流れているものも多い。動物の死骸などが混入することを防いでいたのですね。アウグストゥスを支えた執政官アグリッパが水道を始めとする建築物を残しています。巨大な構造物と言えば、イギリス残っているハドリアヌス皇帝の長城もすごい。東洋では始皇帝の万里の長城が有名ですが、ローマ帝国にも長城があったのです。目的は元々生活していたケルト人の侵入を防ぐためなので、まぁこれ以上帝国を拡大するのはやめておこう的な感じでしょう。
続いて本書はドーム建築を辿っていく。本家ビザンツのハギア・ソフィア聖堂からイェルサレムの金のドーム・・日本ではドームというと野球やコンサートでお馴染みの○○ドームが連想されるけれど、元々は聖なる祈りの巨大空間だったわけです。神田駿河台のニコライ堂は、ドーム状で戦災を逃れているので、100年前の人がどのような空間で祈っていたか、想像できる気がします。
明日の投稿に続きます
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