オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび695

武田幸男、宮嶋博史、馬渕貞利「朝鮮」を読む

 


1993年、今から30年以上前に書かれた本でありますが、古臭さをあまり感じないのは歴史書の強みでしょうか。

国史の登場人物は、もちろん漢字で名前が表記されているのですが、その発音は日本の音読みです。例えば毛沢東は日本の読み方ではモウタクトウですが、現在の中国の発音ではありません。音読みは時代と共に変化しているからです。さてこの本も人の名前が漢字で表記されていますが、横に振ってあるルビは朝鮮語の発音で、日本語の音読みではありません。原則としては現地で呼ばれているように発音はするべきだと私は考えています。

朝鮮も日本と同様で国が成立する以前のことが神話的に語られており、檀君伝説がある。また中国周王朝から遣わされた箕子により箕子朝鮮が始まったという話も残っているが、歴史的な実証が乏しい。

朝鮮王朝の名前をテスト勉強のように要点だけ抑えるなら、高句麗百済新羅の三国鼎立状態を統一した新羅王朝から始め、高麗、李氏朝鮮と覚えるのがいい。

目を逸らしてはいけないのは、江華島事件甲午農民戦争から始まる日本軍の進出とその後の占領だろう。

福沢諭吉が「脱亜論」で語っているように、確かに当時の清国や李氏朝鮮の近代化は遅々として進まなかったし、近代化を目的とした若手官僚クーデターも失敗している。だからといって、隙あらば奪い取ってしまおうという姿勢は、いかがなものか。日本による占領下の朝鮮半島の様子を、本書はかなりリアルに描いている。

サッカーワールドカップの共同開催あたりから、両国の友好関係は若者を中心にかなり改善して来ているが、日本と心理的に距離をおく人もまだたくさんいる。真の友好・相互理解のためには、両国の歴史を正しく学ぶことが前提になるはずだとボクは思う。

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