池上彰「伝える力」を読む。
まず「自分は何も知らない」ことを知り、他者から謙虚に学ぶ。この姿勢さえ持ち続けていれば、コミュニケーション能力は確実に向上していくと池上さんは説きます。
ボクは68歳になるまで教育に関わらせていただいたのですが、黒板を背にして知識の切り売りで済ませていた時代はとうの昔に終わっていて、主体的対話的なアクティブラーニングをどうプロデュースできるかが、現在の教員に求められているのでしょう。
日々学び続けている先生と何年か前に賞味期限の切れた知識のままで止まっている先生は、生徒の目からも見分けがつくはずです。
知らないことと言えば、カタカナ語の氾濫について警鐘を鳴らしている箇所があります。エクスパティーズ、シナジー・・前者は故安部首相が使っていたカタカナ語の例として引用されています。英文読解でも経験しているように、英単語は前後関係でおよその意味を理解できる場合と、さっぱり見当がつかない場合があり、いくら前後が日本語とは言え想像できない場合があるでしょう。池上さんは漢語や大和言葉への言い換えを推奨していますが、本書が出版されたのが2007年。すでに18年が経過してカタカナ語の氾濫はますます勢いを強めて、今やニュースでも平然と使っている気がします。
もう一つ。○○性、△△的などの言葉も何を言っているのか、よくわからないと矛先を向けています。漫然とぼかした言い方で切り抜けたい時などに、ボク自身もよく使うので要チェックです。
「簡単なことは簡単に。難しいことも簡単に。」なるほど。
今読んでいただいている「オヤジのあくび」はブログなのですが、誰にも読まれない日記を付けるよりも、ブログを書くことは不特定多数の読者を想定している分「伝える力」を身につけるために有益であると書かれています。712回も続けてきて、どれだけ伝える力が備わったのかは、何とも心許ないのですが。今後もよろしくお願いします。