和田春樹翻訳「レーニン・セレクション」を読む2
レーニンが当初帝國主義について捉えきれていなかったことは、よく指摘されている。現在であれば、イギリス・フランスによるアフリカへの植民地支配が、資本主義の行き着く先であったことが世界史で教えられている。
しかし、ただでは起きないところがレーニンでして、帝國主義を支える独占資本主義を逆手にとって全世界の労働者による世界革命が可能だと考えたのだ。
レーニンは、先の先を見通す力が優れていて、ロシア革命においてもブルジョワ革命である二月革命で踏みとどまらず、その年の十月革命で一気に社会主義国家を樹立してしまう。
一気に革命を推し進めた人というと、フランス革命のジャコバン党ロペスピエールが思い浮かぶ。彼が独裁体制を築くことで、多くの人がギロチン台に送り込まれてしまった。
レーニンは十月革命直前までは、むしろ追われる立場だったので、ボリシェヴィキによる武装蜂起とペテログラード鎮圧も大きな惨事とはならなかった。
ただ革命家が多くの支持を得ていたことは、後年判断や権力がごく一握りの人に委ねられることにつながる。その課題は現在の社会主義国家にも通じているだろう。
レーニンが亡くなった時に、共産党の書記長はスターリンだった。スターリンに権力が集中してことで、歴史上どれだけ悲惨な粛清が行われてたかは、多くの人が知っている。
それから百余年。ソ連は30年以上前になくなりました。しかし、地球規模で富は偏り、南北には歴然と経済格差があるのです。レーニンは世界革命によって資本家階級を排除しようとしました。では現在の課題を克服するために、どのような手段が残されているのでしょうか。私たちに課せられた宿題です。