オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび742

中西嘉宏「ミャンマー現代史」を読む2

 


アウンサンスーチーさんについては、ご存知の方も多いでしょうが、ミャンマー(当時はビルマ)を独立に導いた建国の父アウンサン氏の娘です。悲しいかな、アウンサン氏は独立を果たした直後に暗殺されてしまうのですが。

 


ですから彼女が初めて演説をした時から民主化運動のカリスマになることは十分に予想できたように思います。

スーチーさんの初めての演説はたまたま母親の看病のためにヤンゴンに帰っていた時に行われた。長さは5分程度。キーワードは「平和」「規律」「団結」「真理(アフマンタヤー)」。特に真理=アフマンタヤーという言葉が、気になります。仏教への信仰心が厚いミャンマーの人々の心に届く言葉なのでしょう。

 


本書の課題は、暴力を管理できない国家の分析だが、軍事政権下の困難を二つに分けて筆者は語る。

まずは「正統性の困難」、なぜ軍人が政権を握っていてよいのかの答えである。本書では三つ挙げている。一つ目がガーディアンシップ。軍こそが党派性を超越して国家の利益を護る存在だという主張。二つ目が危機による正統化。連邦分裂の回避、国民統合の維持、主権の永続性であります。少数民族が国境地帯を実効支配しているミャンマーだからこそ分裂の回避は、ある程度説得力があったのかもしれないけれど。三つ目が、仏教ナショナリズム。仏教の庇護者であるイメージを強調することで、国民の9割が仏教徒であるミャンマーならではでしょう。

続けて「統治の困難」。1972年以降ミャンマーには、事務次官とか県知事というポストはない。その他の局長クラスも軍の出世競争から降りた軍人が天下り的に配置されるので、文民のモチベーションが上がるはずがないのだ。

 


テインサイン政権下からミャンマーは変化する。軍師政権下で首相をつとめた大統領であるとはいえ、テインサインは以下の課題について改革を前進させた。少数民族ロヒンギャを始めとする宗教対立、経済開発〜発展、どれ一つを取ってみても解決の道筋を立てることさえ容易でないことがわかる。ミャンマーの政治には現在地球規模で取り組まなければならない課題が、全て含まれているのだ。

 


そして、いよいよスーチー政権が誕生する。

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