大島隆之「ヒトラーの時代を生きる」を読む1
「ドイツ民族だけがドイツ人!」
1920年2月24日、ミュンヘン・ホフブロイハウスで国民社会主義ドイツ労働者党の創立集会が開かれた。2000人を集めたその集会で入党して半年にも満たないヒトラーは綱領発表を任される。
すでにその内容には、排斥主義が充満しており、反ユダヤ人の排除と唾棄されるべき思想として反共産主義が盛り込まれている。
「外国から助けてもらえると決して信じてはならない。自分の国と国民以外からいかなる助けも期待してはならない! ドイツ民族の未来は我々だけに帰属するのだから。国民ひとりひとりが国を発展させるのだ!・・」
みじめな敗戦国から偉大な国へ生まれ変わることができるとヒトラーは述べるのだ。背景に第一次世界大戦後のヴェルサイユ体制に対する屈辱感や憎悪に似た感情を多くのドイツ国民が抱いていた状況があったのです。
そして彼の演説は、同じような言葉が何度も繰り返される。上の演説は次のように続く。
「みずからの努力で、みずからの勤勉さで、みずからの決意で、みずからの意地で、みずからの根気で行うならば、我々は再び勝利を収めるだろう。この国をみずからの力で築き上げた祖先たちと同じように!」
ヒトラーが演説に使うキーワードは、世界恐慌以降「ユダヤ人」から「敵」や「国民」というより一般的な言葉に変化する。これは議会の中で大きな勢力を形成してきたことと関連するのでしょう。
また演説の冒頭は静かに、そして終盤に向かうと怒りに満ちた調子で・・この扇情的なスタイルに、どれだけ多くの人々が魔法にかけられたかのように興奮したか。
当時のドイツは34もの政党が乱立しており、ヒトラーはナチ党以外の政党をすべて否定して、のし上がっていきます。1933年1月30日、ヒトラー率いるナチ党は第1党となり、彼は第一次世界大戦後15番目の首相の座に就くのです。
明日の投稿に続きます。
