産業革命以来大量生産大量消費の一本道を走り続けてきた資本主義。その自転車操業的なあり方に疑問を突きつけたことで一躍有名になったムヒカ大統領。
2012年6月20日リオ会議にて
「・・逆に人類がこの消費社会にコントロールされています。私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。・・・」
「貧乏とは欲が多過ぎて満足できない人のことです。」
「物であふれることが自由なのではなく、時間であふれることこそ自由なのです。」「人がものを買うときはお金で買ってはいない。そのお金を貯めるために割いた人生の時間で買っているのです。」
「余裕のある人には弱視やを助ける義務がある。貧しい生活をしている人々の生活が改善されれば、我々の生活も良くなります。」
さて、ムヒカはどうやって自分の思想に辿り着いたのだろうか。本書第二章でふれている。
「青少年時代は、当時の世界を変えたいという強い思いがあり、格差のない社会と自由を夢見ていました。」
彼は法律の勉強をやめて、極左ゲリラ「トゥバマロス」の活動に身を投じる。過激な活動ゆえに、逮捕されたムスカは13年の獄中生活を送る。
独房生活で精神的に追い込まれていたムスカだが、7年目に物理や化学に関する読書を許可されたことで、精神のコントロールを少しずつ取り戻したという。
獄中生活を振り返り「憎悪には少しの意味もありません。憎悪は毒です。・・明日に向かうのが人生です。」
やがて大統領となり、打ち出した政策の中に世界中を驚かせた法律がいくつもある。大麻所持、妊娠中絶、同性婚の合法化など、大麻については合法化することで市場を国が管理できるという。
自らの失言によって舌禍にまみれることも多々あったようです。ムヒカ大統領は任期を終えた退任時にも支持率が65%だったというから、政策を足し算引き算すれば、大統領としては十分に国民に受け入れられていたのだと思います、
ムヒカ大統領の問いと答えを手繰り寄せようとすると、結局「豊かさって何なのか?」に行き着きます。「健康で文化的な最低限度の生活」は、日本国憲法25条で生存権として保障されているわけです。ただその条文は豊かさを求める必要条件にはなっても、同時に十分条件にはなり得ない。
本人の環境、教育履歴、そしてもちろん経済状況によって、何をもって豊かさを感じるのか、幸せを感じるのかは変わってくるでしょう。幸せは結局個人の身近な生活の中にあると。メーテルリンクが「青い鳥」で書いていた主題ですね。
けれども世界中の富が一部の国の大富豪によって独占され、とてつもない格差が拡大し続けている以上、ムヒカ大統領の言葉はこの先も私たちの心に響いてくるのだと思います。
