森元斎「アナキズム入門」を読む3
この人を外してアナキズムは語れないでしょう。満を持して第三章にクロポトキンが登場する。
ロシア貴族としてエリートコースを歩むはずだった彼は、志願してシベリアへ行く。そこで彼が目にしたのは囚人たちの過酷な実態とドゥホボール派の共同生活。
シベリア州の副知事であった彼は、行政の指令による先導が悉く失敗し、民衆の自発的な活動がすべて成功に至る事実を体験する。さらには囚人ミハイル・ラリオノヴィチ・ミハイロフとの出会いを通して、政府不信・否定の芽が育まれていたのです。
学者か革命家かという二者択一のうち、世界的に有名な地理学者という名声は捨てて、革命家の道を彼は選ぶ。しかし理論的にアナキズムを成り立たせるのに学者としての履歴は、大いに役立ったろう。
当時学界を席巻していたのは、ダーウィンの「進化論」。この理論を応用しながらクロポトキンは「相互扶助論」を書く。
適者生存は弱肉強食の結果なのではない。むしろ、相互扶助をし合った生物こそ、生き残り、子孫を繁栄させてきたのである。だから進化してきた。やたらめったら喧嘩で勝つ奴が生き残るのではない。むしろ喧嘩で負けようとも、死なずにすんだ、ないし生きながらえた生物が進化を遂げてきたのだ。
お次は地理学者であったルクリュ兄弟。章の最後に次のような言葉が書き付けてある。
資本主義をやめる。国家をなくす。権威をなくす。その時、敢えて誉めたたえる何かがあるとすれば、それは家族だ、友人だ、自然だ、地球だ。別段、偉そうなことをぶち上げているつもりはない。家族も友人もすぐそばにいる。自然も地球も今ここにある。この美しさとどう付き合うか、それが試されている。私たちは美を生きる。美と生きる。進化を生きる。進化と生きる。革命を生きる。革命と生きる。
なるほど。
明日の投稿に続きます。
