森達也「すべての戦争は自衛から始まる」を読む2
「0戦はやと」というアニメを子どもの頃見ていた。主題歌にこんな歌詞が出てくる。♪〜平和願って今日も飛ぶ。何と作詞は倉本聰であります。このフレーズの謎を、60年経った今もボクは解けない。
ピースボートに乗船して、分断国家キプロスに立ち寄った時のエピソードが出てくる。トルコ系住民とギリシア系住民がグリーンライン分断されているのだ。外見的にも人種的にもほとんど見分けがつかない人々がいがみ合っている背景に、互いに悪辣で危険な人々であると子どもたちに刷り込み続けている教育があると書いている。
著者は、そんな街に不思議な落書き(メッセージ)が多数描かれているのに気付いた。「銃を捨てて.音楽を聴く」。キプロスに辿り着く前にスエズ運河を通過した時にも「PEACE」という落書きがあった。人々は平和への希望を決して捨てないのだ。
「目には目を」を続ければ、世界はやがて盲目になる。マハトマ・ガンジー
被害を記憶することと、加害を記憶することを、同時並行で歴史に刻み教育していかなければならないと思います。先日、日本軍が中国で何をしてきたか、加害の記録を展示する催しを拝見してきました。自虐史観とやらの言説が横行し始めた頃から、加害の記録を掘り起こす作業の勢いが弱まっているように感じます。
本書が言い当てているように、私たちは不安・恐怖に対して抵抗力が弱い。しかし不安や恐怖を煽る言説は、それを売り物にしているメディアはもちろんのこと、怖いもの見たさの心理も働いて、人の興味を引き付けてしまう。不安と恐怖の上に「戦争に対する」を冠させても同様だ。
私たちの先輩たちは、煽られ、いつの間にか同調し、結果戦争に加担させられていたのだ。同じ轍を踏んではならない。なぜならこの次こそ滅亡への道を辿るのだから。
