「シドニーのグリーンストリート」
村上春樹は早稲田大学の演劇科出身だ。ふとこの短編を脚色できるだろうかと考えてみた。もちろん不条理劇になるだろうが、先日の投稿に含まれている「踊る小人」と同様、面白いやり取りができそうな気がしてきた。
羊男と羊博士のいざこざを巡って、私立探偵のボクとピザスタンドの「ちゃーりー」が繰り広げる話。
意識下にフロイトの願望憎悪が潜んでいることを指摘することで話しが解決する。ぼくにはこの短い作品に青春の爽やかな風が吹き抜けているような気がする。
「カンガルー日和」
僕と彼女が動物園にカンガルーの赤ちゃんを見に行く話。赤ちゃんが生まれたニュースが流れてから一か月くらい経ってしまった。だから赤ちゃんはすでにほどほどに大きい。お母さんの袋に入れるか、心配するが無事にそのシーンを見られたという話。
それだけのことだが、村上春樹特有の乾いた空気と軽やかなテンポ感は、この初期作品の中にも流れている。
これは中学校の夜警をしていた時の怖かった体験話。実はボクも若い頃用務員さんに頼まれて、学校にある泊まった経験がある。夜の学校っていうのは、予告なしにポンプが動いたり、音楽室の肖像画やピアノをはじめとして怪談話の宝庫だから、怖いと思い始めたら怖い。
本編は、ないはずの鏡に自分が映っていて恐ろしかったという話。村上作品だから湿っぽいおどろおどろしい感じがしない。
「とんがり焼きの盛衰」
本物の村上春樹がお菓子づくりが好きなのか、ボクは知らない。主人公が200万円につられて「とんがり焼き」をつくる話。もちろん寓話として書かれたのだろう。
「かいつぶり」
採用面接を受けようと扉に辿り着くが、合言葉を言わなくっちゃいけない。主人公は合言葉なんてい聞いていないので、思いついた言葉が「かいつぶり」。
この話も象徴的な人生のある場面を投影しているかのようだ。
「踊る小人」
夢に出てくる小人が身体に入って、結局のところは乗っ取られてしまう話。
夢には、目覚めた時にいつまでも見ていたかった夢と夢から抜け出すことができてよかったと思う悪夢があるが、この話の夢はやはり後者に近い。
この話のネタになったような夢を見たのだろうが、その細部を綴っていくうちにこの物語ができたのだろうか。非現実的で幻想的な夢世界を描くことにかけて、やはり著者は一流だと思う。
次回へ続く!
