オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ぼくの大好きなアルバム この一枚 ②

「小さな犯罪者」というアルバムについて 1

 冒頭を飾るのは、ランディ最大のヒット曲となった「ショートピープル」。Short People got no reason が三回繰り返され、to live と続く。(小さい人達には、わけ=理由なんてないのさ。生きていくためのね。)ここで歌われる小さい人は、文字通り背の低い人のことであるとか、日本人のことを揶揄しているとか、いろいろ噂されたが、案の定、放送禁止の憂き目に合う。それでも、この曲が売れたのは、音楽の美しさと無関係ではないだろう。何せこのアルバムでバックを支えているミュージシャンは、ほぼイーグルスそのものと言ってよいメンバーで、かの「ユー・アー・オンリー・ロンリー」のヒットで有名なJ・D・サウザーも加わり、当時のウェストコーストサウンドを牽引していた大物揃いなのである。

 のっけから、ひどい毒を聴き手に浴びせかけたランディは、とどまるところを知らないがごとく二曲目のタイトルは、何と「太った奴を馬鹿にはできない」である。わけありの主人公が、太った知り合いに金を無心する話なのだが、歌詞に描かれたシーンの背景にストーリーが見え隠れてしている思わせぶりな詞の書き方もランディの特徴の一つであり、後年映画音楽との関わりを深くしていったのも彼の傾向として自然な流れだったように思える。

 三曲目はタイトル曲でもある「小さな犯罪者」。マフィアか暴力団かよくわからないが、おじさんのところから銃を持ちだし、主人公がやばそうなことを始めようとしているのは、間違いない。we've almost made it が繰り返され、to the top と続く。もう全部できあがっているんだよ。頂上に駆け上がるための準備がね・・う〜ん、何とも危険な雰囲気が曲全体に漂っているぞ!やばい!!

 ここまでがまんして聞き続けるとと、聞こえてくるのは四曲目の限りなく美しい弦楽の響き!ほとんどの聴き手は、まず前曲との落差に驚いてしまう。

 戦争で父を亡くした少女の深い悲しみを、ランディは、すばらしいオーケストラをバックに、つぶやくように、あたかも心のポケットから音を探り出しているかのように歌う。だからこのアルバムを聴く機会があったら、毒のある言葉に辟易して、二曲目や三曲目で聴くのをやめないでほしい。何とかこの曲までは、たどり着いてもらいたい。この後にさらにおいしいランディの世界が待っているのだから。