オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2023-01-01から1年間の記事一覧

オヤジのあくび599

立川志の輔・玄侑宗久「風流らくご問答」を読む 落語と琵琶は昔寄席に掛かっていた芸能として共通点があります。一席がおよそ15分であること。この15分がビミョーでして、長すぎてひたすら我慢を強いられる時間になるか? 耐えられずに席を立ってしまうか? …

オヤジのあくび598

「思い出のアルバム草軽電鉄」を読む 草軽電鉄。現在草軽交通としてバス事業を展開している会社の前身です。軽井沢〜草津温泉間を結んでいた高原列車があったのです。55kmの距離を3時間かけて走っていたといいますから、吹き抜ける風を身体に浴びながらのん…

オヤジのあくび597

植西聰「折れない心をつくるたった一つの習慣」 「それができていれば、初めからこの本読んでいないよ」と感じさせるようなアドバイスがこの本にも多く出てきます。でも、本というメディアは200ページ以上あるので、手を替え品を替え、いろいろな角度や場面…

オヤジのあくび596

坂口恭平「自分の薬をつくる」を読む この本は、さまざまな悩みを抱えた患者さんを診察するような形で進行する。もちろんその全てが演技であり、周りからも丸見えなのだ。 何人目かに、1ヶ月に一度死にたくなる患者さんが来て、生歌をつくることを薦める場面…

オヤジのあくび595

名作を読む96 ケストナー「飛ぶ教室」 描写や話の展開が楽しいわけは、作者自身が登場人物といっしょになって、自ら創る物語世界を面白がっているからだという気がする。前書きとあとがきに作者が登場する仕掛けも物語の一部に入りたい願望のような気がしま…

オヤジのあくび594

武田友紀「『繊細さん』の本」を読む 早速28ページの診断テストをやってみると、案の定ボクは当てはまらないが、いっしょにテストをした妻はHSP傾向のようだ。 この種類の本によく出てくる魔法の言葉が登場する。考え過ぎやベストを求めて身動きが取れなくな…

オヤジのあくび593

村上和雄・.棚次正和「人は何のために祈るのか」 祈りは病気を癒し、心身の健康を保つ大きな力を秘めている。少しでもよりよく生きようとする遺伝子の働き、それが祈りであると筆者は言います。 祈り。宗教に近く科学から遠い行為だと多くの人は感じるでしょ…

オヤジのあくび592

養老静江「ひとりでは生きられない」を読む 著者は明治生まれ。横浜平沼高校がまだ神奈川県立第一高女だったり、東京女子医大が女子医専であったりした時代の学生生活を語っている。その後、帝大病院(今の東大病院)に小児科医として勤めるが、筆者は横浜本牧…

オヤジのあくび591

西郷孝彦「校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール」を読む たったひとつの校長ルールとは「子どもたちが幸せな3年間を送ること」 心に壁を造って拒否しない。一人ひとりに安心できる居場所を提供する。何よりも教師であることをかさにした上から目線…

オヤジのあくび590

梓澤要「方丈の孤月」を読む 前半は、煩わしいとさえ感じる中世貴族社会の人間模様の中で、若い鴨長明が要領よく立ち回れない様子が描かれている。由緒ある下鴨神社の御曹司としてのブライドや両親を亡くした哀しみが、主人公のコンプレックスの背景にあるの…

オヤジのあくび 589

ピーノ・アプリーレ「愚か者ほど出世する」 本書は動物行動学者のローレンツ教授にインタビューした経験から始まる。「人間の知恵は必要があれば、いつでも解決の出口を見つけ出す。しかし、ひとたび解決法を見つけてしまうともう知能を使う必要はなくなる。…

オヤジのあくび588

山崎慶子「グランマの本棚から」を読む 読み聞かせの予定表が送られてきて、第一回目は2年生。「そうか、低学年なら絵がある本がいいかなぁ。紙芝居にチャレンジしてみるのもいいかもしれない。」などと、例によって取らぬ狸の皮算用を始めてしまう。 読書に…

オヤジのあくび587

中島義道「カイン」を読む タイトルの「カイン」は、旧約聖書で弟アベルを殺した兄であります。主によって殺されぬ「しるし」が付けられたカインは、苦しみ悩み続ける日々を送る。本書では青年Tに寄り添いながら、彼が立ち向かい排除していくべき相手は何な…

オヤジのあくび586

野口五郎「芸能人はなぜ老けない」を読む 本書の最初に役職と威厳の話が出てくる。威厳を保とうとすることは自ら進んで老けようとすることだと、野口五郎さんは言うのだ。エンターテイナーに役職はないし威厳も必要ない。なるほど郷ひろみさんの若々しさには…

オヤジのあくび585

伊東乾「笑う脳の秘密!」を読む 初めに音楽の話が出て、呼吸をしていない表現=うたっていない音の課題を指摘している。テンパる→呼吸が浅くなる→表現が不自由になっていく感覚は、ボクも日頃合唱や琵琶歌で音を出しているので身につまされてしまう、 自分の…

オヤジのあくび584

相田一人「父 相田みつを」を読む。 頸椎症のせいか? 肩や首周りが痛い。本の初めに筆者が「姿勢をよくしろ!」と父から言われた話が出てくるが、身に染みてその通りだと思う。姿勢の話に限らず、相田みつをさんが書かれることはいちいちごもっともでありま…

オヤジのあくび583

伊藤悟「ひょっこりひょうたん島 熱中ノート」を読む 著者は「ひょっこりひょうたん島」を記録し尽くした少年です。ひょうたん島の放送回数は1224回。今ならスマホで動画撮影すれば済むようなことを、ひたすらセリフや字幕、背景、人形の動きをノートに書き…

オヤジのあくび582

桑田佳祐「ポップス歌手の耐えられない軽さ」を読む 桑田佳祐さんは茅ヶ崎で育ち、ボクは隣町の辻堂で育った。時代も重なっているので取り上げている音楽体験や、地域の雰囲気をボクも味わっている。だからこそかなり共感して読み進めることができる。 この…

オヤジのあくび581

安部龍太郎「海の十字架」を読む2 足利将軍による治世を終わらせたのは織田信長であるが、信長が上洛する前の洛中の支配者は三好長慶であり松永弾正であった。「蛍と水草」はその内部抗争を描いている。 三好兄弟が次から次へと銃撃され、全て松永弾正の思う…

オヤジのあくび580

安部龍太郎「海の十字架」を読む1 書名にもなっている大村純忠の物語は、ポルトガルの交易とセットになったイエズス会の布教を、いかに自身に有利な方向に利用するか? 戦国時代ならではの駆け引き劇が読者を楽しませる。少々怪しげなバルトロメオが、ストー…

オヤジのあくび579

安倍龍太郎、門井慶喜、畠中恵「歴史・時代小説教室」を読む 畠中さんは、作家自身が小説を書くために踏んでいるステップを惜しみなく公開している。それはほぼ一般化されたスキルなんだろうけれど、もちろん畠中さん独自の留意点も話されていて、何か書いて…

オヤジのあくび578

木村治美「六十代からのエッセイ教室」を読む 冒頭で日記とエッセイの違いについて、ふれている。エッセイは自分を客観視して、書かれている自分と書いている自分との間に距離を取るというのだ。だからこそ読み返しが可能であるし、読者を獲得できる。ボク自…

オヤジのあくび577

池田憲章・伊藤秀明「NHK連続人形劇のすべて」を読む やっぱり「ひょうたん島」の話から。「チロリン村」から続けて音楽を担当したのは宇野誠一郎さん。「真面目なものを真面目に」がチロリン村なら「真面目なものを不真面目に」がひょうたん島の精神だと話…

オヤジのあくび576

田中健次「図解 日本音楽史」を読む 自分が親しんでいる琵琶でさえ知らなかったことが多い。本書によれば、雅楽の楽琵琶はペルシャ起源で7〜8世紀にシルクロード〜中国経由で日本に伝えられた一方で、盲僧琵琶ルートは、インド起源で6世紀に三国時代の中国経…

オヤジのあくび575

増本喜久子「雅楽」を読む 雅楽と言えば、現代のテンポ・リズム感から遥かに遅い、まったりとした音楽という印象を持たれている方もいるだろう。けれど日々の言葉を発する速さや生活リズムそのものが、元々古代日本では非常にゆっくりしていたわけで、当時の…

オヤジのあくび574

菅野恵理子「MIT音楽の授業」を読む 音楽学科の開講科目は「文化・歴史」「作曲・理論」「音楽テクノロジー」「演奏演技(パフォーマンス)」の領域に分かれている。目を引くのは「文化・歴史」の領域に「ビートルズ」「ワールドミュージック入門」「アフリカ…

オヤジのあくび573

長友佑都「日本男児」を読む 熱い! 長友選手のエネルギーの源が、中学校時代のサッカー部顧問井上先生との出会いに見つけられる。ガキ大将だった小学校から両親の離婚という家庭環境の変化、そして地元有名チームのセレクション落ち、入った中学のサッカー…

オヤジのあくび572

33代 木村庄之助「力士の世界」を読む 幕内、十両など番付の話からスタート! 実際の取組表には、十枚目と書いてあり十両は強い力士に渡された給金が由来なのですね。幕内も、屋外興業であった大相撲で幕を張った休憩所に入ることを許されたからとか。 土俵…

オヤジのあくび571

門井慶喜「徳川家康の江戸プロジェクト」を読む 大河ドラマ「どうする家康」で描かれている通り、家康公の一生はギリギリの判断を迫られる場面の連続であった。江戸に本拠地を定めたのもその一つだろう。秀吉から関八州に国替えを命じられた家康は、なぜ江戸…

オヤジのあくび570

二宮敦人「最後の秘境 東京藝大」を読む 学生としてではなくて、小泉文夫記念資料室の見学者として音校キャンパスに入ったことがあります。練習室が並んでいたことや入口まで迎えに来ていただかないと入れなかったことを覚えています。しかしこのセキュリテ…