オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

マイ フェイバリッツ ソング 1

カーペンターズ 雨の日と月曜日は

 カーペンターズ。ポップシーンを代表する言わずもがなのスーパーグループ。ある音楽評論家だか作曲家だか忘れてしまったが、何かの番組で言っていた。「カーペンターズというグループは、ロックとか特定の音楽ジャンルに分類されるのではなく、カーペンターズという他のいかなるポップスとも違う音楽ジャンルが独立して存在するのだ。」と。

「雨の日と月曜日は」を聴いたのは、高校生の頃だったろうか?この曲以前にも「遙かなる影」とか「涙の乗車券」とか、聴いていたに違いなのだが、「この哀愁を帯びた旋律と詩を最も豊かに表現できるのは、カレン・カーペンターをおいて他にいない!」とさえ思えるほど、彼女の声質がマッチしていて、いつまでもいつまでも心の中に響き続ける「私のお気に入り」になった。

 作曲は、スリードッグナイトが歌っていた「オールド ファッション ラブ ソング」でも知られるポール・ウィリアムズ。この優れたメロディーメーカーについては、我が国でももっと評価が高まっていいと思うのだが。初期のカーペンターズは、他にもレオン・ラッセルの曲で「スーパースター」や「ア ソング フォー ユー」「マスカレード」やバート・バカラックの「遙かなる影」など、カヴァー曲を結構歌っている。レオン・ラッセルは、これが気道の底から歯磨きのチューブを絞り出すように、もうあまり出ない声を無理矢理出しているような歌い方をする人でして、銀髪の挑発に怪しげな目つきがただ者ではない雰囲気を醸しだし、一時は「最後のスーパースター」とかいうコピーで宣伝されていたこともあった人だ。作曲者本人の歌とカーペンターズによるカヴァーの落差は、とてつもなく大きく、レオン・ラッセルの味わいは、それはそれで好きなのだけれど、カーペンターズによってカヴァーしてもらったことにより、曲のよさが、より多くの人に伝えられたのは紛れもない事実だと思う。

 もともと自作自演というスタイルは、ビートルズ以降にポップスシーンに定着したスタイルだろうから、リチャードも初めのうちは自作にそれほどこだわっていなかったのかもしれない。

 しかし、だれの曲を歌っても、そのすべてが咀嚼消化されてカーペンターズサウンドに化学変化を起こしているのは、まったく見事と言う他はない。初めの数小節を聴いただけでアーティストの特徴がはっきりわかるのは、超一流の証明だが、カーペンターズもイントロだけですぐわかるオリジナルな音を持っているグループの一つだ。

 しっとりと叙情的にメロディーを聴かせる曲もいいが、軽快なテンポでテンションをちょっと高めてくれるような曲もいい。「トップ・オブ・ザ・ワールド」「ジャンバラヤ」「プリーズ・ミスター・ポストマン」など、どれを聴いても、思わずうきうきしてくるようなツボにはまったテンポ感と控えめなパーカッションの音色が実に心地よい。

 この浮き立つような心地よさとしっとり心のひだに沁みる叙情感こそが、カーペンターズの魅力なのだろう。