「くしゃみ一つで呼ばれたからは〜」。これまた往年のアニメファンには、なつかしい「ハクション大魔王」のテーマソングである。作詞は、丘灯至夫。かなり再放送が繰り返されているので、ご存知の方も多かろうが、ここに登場するキャラクターは、大魔王といっても、あまり役に立たない感じの、いてもいなくてもあまり変わらないが、どちらかと言えばいない方が助かるタイプの魔王であり、その情けなさが受けていた番組なのである。
「東京のバスガール」や「あこがれの郵便馬車」など、おしゃれでハイカラな歌詞を書く作詞家と「ハクション大魔王」の作詞者が、同一人物であることを類推するのは、至難のわざである。故人は。他にも「みなしごハッチ」や「キカイダー」のテーマソングも手がけており、老若を問わず人々に喜ばれる作詞は、何でもござれという印象である。
この仕事の幅広さ、自由度の高さが、どこか師匠の西條八十に相通じるところがあるように思うのは、私だけだろうか。
歌は世に連れ、世は歌に連れと言うが、故人の詞は、これからも長らく多くの日本人に歌い継がれていくことだろう。合掌。
