オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ベートーヴェン「第九」の魅力 5

「うちのかみさんがね〜」は刑事コロンボの名セリフだが、「うちのかみさん」が第九に挑戦している。「一度は歌って見たかったのよね〜」の志やとりあえず良し。私は、初挑戦の彼女のために、音取りを手伝ったり、CDを聴いてイメージづくりを手伝ったりした。
 さて、いざ練習が始まると、案の定、第九初心者である彼女は、練習の進む速さやドイツ語の発音で苦労している様子。そもそも、我が国ではドイツ語の歌に挑戦するのは「第九」が初めてという人が、「ざらにいる」という状況が不思議なのだ。
 そもそも合唱に参加するための必要条件というものが、我が国には、ほとんどない。大学のクラブ勧誘には「声帯を有すること」などと書かれていたが、声さえ出せれば、多少音が外れようが、違和感を伴う声質であろうが、みんな合唱仲間!という非常に寛容な風土が準備されている。何という博愛の精神!
 ドイツ語の合唱曲であれば、バッハに始まりハイドンブラームスの曲も楽しみつつ、「第九」にチャレンジするというキャリアステージへの意識が多くの参加者にはない。とりあえず名曲中の名曲である「第九」が、自分なりに歌えればそれでよいのである。
 だから、当然ドイツ語の発音に困惑し、苦労する事態に陥るのだ。その辺りを打破するべく、なかにし礼氏による日本語の「第九」が提案?されたりしたのだが、結局思うような広がりを見せていないのは、ドイツ語で歌う達成感、満足感を越えられないのだろう。
 ならば、もう少し勉強してから「第九」に臨んでもよさそうなものだが。