オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

編曲の達人たち1 「恋は水色」の場合

 我が家に届く某新聞の日曜版に「うたの旅人」という記事があり、時折読んでいる。先日は、ポール・モーリアの「恋はみずいろ」だった。
 元を正せば、ギリシャの女性歌手ヴィッキーが歌って、そこそこのヒットを飛ばしたという歌の主旋律は、シンプル極まりない。「ミーレード シラソ ラドシドーラ ソラソーミ」
 これを淡く哀愁感が漂う音色のハープシコードで奏でるというアイデア。そしてさびの部分までヴァイオリンや管楽器は静かにしておいて、世界が一気に広がったかのように後半部分を盛り上げていく。編曲に当たっての基本構想は、ここまでであろう。
 しかし、これが乾いた人々の心と体に潤いを与えるように、見事に当たった。新聞記事にもあるように、とりわけ日本で。ポール・モーリアは「イージーリスニング」界の王様的存在として、君臨し続けたわけだ。
 手品のBGMとして定番の「オリーブの首飾り」、元はワインのCM曲だった「エーゲ海の真珠」これらはポール・モーリア・オーケストラの十八番として、知られているが、作曲者は、ポール・モーリア自身ではない。どれもすばらしいオーケストレーションによって、曲(原石)本来がもつ魅力を、さらに輝かしい音楽として、再創造させている。まさしく編曲の達人のなせる技と言えよう。