オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ブラームスの合唱曲にひたる 第二夜

作品109「祭典と記念の格言」を聴く。お祭りを祝うかのようなタイトルから、派手さや原色の明るさを期待したい人は、ヴェルディのオペラやヴァーグナーでも聴かれた方がよい。あくまでもブラームス的にであり、ハッタリとはまったく無縁の美しいハーモニーがここにはある。特に三部形式で書かれた三曲目の中間部から最後のアーメンに至るまでが美しい。ルネッサンスの音楽から感じられるような透明感や複数の声部による旋律があやなすポリフォニックな響きが美しい。

続いて、ブラームスをまとめて聴いてみようと思い立ったきっかけになった曲で最後の合唱作品でもある作品110「三つのモテット」を聴く。ブラームス本人が作品109とセットで出版することを希望したというが、「祭典と記念の格言」が外界に向けての音楽であるとするならば、110はいかにもブラームスらしい内省的な音楽である。二曲目は、美しくどこか物哀しい旋律が、この曲だけ二重合唱ではないので、一層引き立っている。三曲目の後半はどこかバッハを連想させるような説得力のある重厚な音楽だ。音楽を聴き終えたあとの余韻がずっしりと心に沁みる。