音楽
坂本龍一「音楽は自由にする」を読む2 坂本龍一さんは自由劇場繋がりで、やがて鈴木茂に会うのですが、それまで「はっぴいえんど」を聴いたことががなかったと告白しています。正直クラシックバリバリ芸大作曲科卒業の坂本とポップミュージックどっぷりの仲…
パトリック・ハンフリーズ著、野間けい子訳「ボール・サイモン」を読む2 サイモン&ガーファンクルが有名になったのは「サウンドオブサイレンス」から。それまでポール・サイモンはどこで何をしていたのか?その疑問に本書は答えてくれる。イギリスでフォーク…
パトリック・ハンフリーズ著、野間けい子訳「ボール・サイモン」を読む1 トム・グラフとジェリー・ランディス。コンビ名は二人合わせて「トムとジェリー」。ネコとネズミが駆け回るアニメーションではない。16歳のサイモンとガーファンクルが「Hey School gi…
竹内道敬「日本音楽のなぜ?」を読む2 第十章は「なぜ語尾を震わせるのか」。オペラ歌手のビブラートではなく、邦楽発声でフレーズの最後を震わせて歌う話です。日本語なのに何をのんびり間延びした歌い方をしているのか? ボクも筆者と同じく日本には残響を…
竹内道敬「日本音楽のなぜ?」を読む1 「第三章 なぜノリが悪いのか」の中で拍子感について書かれています。昔、小泉文夫先生が農耕民族と騎馬民族のリズムが違うことを指摘されていたことが思い出されますが、音楽の中からほとんど感じられないのが三拍子。…
菊池清麿「評伝 服部良一」を読む3 朝ドラのタイトルにもなっている「ブギウギ」のリズムは、戦中上海に渡っていた服部良一が李香蘭のステージですでに使っていた。まるで戦後の音楽を預言するかのように。 そして笠置シヅ子がステージ狭しと踊り歌った「東…
菊池清麿「評伝 服部良一」を読む2 戦前の良一作品を代表する曲が、昭和12年淡谷のり子による「別れのブルース」。低いGから歌い出すため、本来コロラトゥーラソプラノの淡谷のりこは一晩中タバコを吹かして低く魂がこもった声が出るしたという。ボクサーの…
菊池清麿「評伝 服部良一」を読む1 朝ドラで「梅丸少女歌劇団」が華麗なダンスを披露していたように、大阪は今も昔とエンターテイメントの街だと思います。日本初のジャズバンドは、井田一郎さんによるラフィングスターズで、大阪・神戸にジャズの音色が響き…
石濱匡雄「インド音楽とカレーで過ごす日々」1 楽器や音楽との出会い方は、人さまざまでしょう。ボクは琵琶という今の日本ではマイナーな楽器に関わっているので、なぜ琵琶をやっているのか? 尋ねられることがあります。石濱少年の場合は、中学の頃からギタ…
米山文明「声の呼吸法」を読む 以前米山先生の「声と日本人」を読んで、オヤジのあくびに投稿した気がします。(何だか記憶がごちゃごちゃしていますが・・)あとがきでは、その延長線上に本書を書きましたとおっしゃる。より実践的な方向に進展させて・・との…
養老孟司・久石譲「耳で考えるー脳は名曲を欲する」を読む 環境と音楽について語り合っている箇所があり、日本で組み立てたパイプオルガンの調整が大変な話が出てくる。西洋音楽の響きは、乾ききった石造ホールで育まれたものだ。アカペラだって合唱だって、…
伊東乾「笑う脳の秘密!」を読む 初めに音楽の話が出て、呼吸をしていない表現=うたっていない音の課題を指摘している。テンパる→呼吸が浅くなる→表現が不自由になっていく感覚は、ボクも日頃合唱や琵琶歌で音を出しているので身につまされてしまう、 自分の…
桑田佳祐「ポップス歌手の耐えられない軽さ」を読む 桑田佳祐さんは茅ヶ崎で育ち、ボクは隣町の辻堂で育った。時代も重なっているので取り上げている音楽体験や、地域の雰囲気をボクも味わっている。だからこそかなり共感して読み進めることができる。 この…
田中健次「図解 日本音楽史」を読む 自分が親しんでいる琵琶でさえ知らなかったことが多い。本書によれば、雅楽の楽琵琶はペルシャ起源で7〜8世紀にシルクロード〜中国経由で日本に伝えられた一方で、盲僧琵琶ルートは、インド起源で6世紀に三国時代の中国経…
増本喜久子「雅楽」を読む 雅楽と言えば、現代のテンポ・リズム感から遥かに遅い、まったりとした音楽という印象を持たれている方もいるだろう。けれど日々の言葉を発する速さや生活リズムそのものが、元々古代日本では非常にゆっくりしていたわけで、当時の…
菅野恵理子「MIT音楽の授業」を読む 音楽学科の開講科目は「文化・歴史」「作曲・理論」「音楽テクノロジー」「演奏演技(パフォーマンス)」の領域に分かれている。目を引くのは「文化・歴史」の領域に「ビートルズ」「ワールドミュージック入門」「アフリカ…
若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む3 世界史の学習法は人それぞれだろうが、勉強の入口は世界地図を頭に思い描きながら、その地域の統治機構がどのように移行していったのかを辿る方法だろう。だから○○朝ペルシアだとか△△王国など覚えるところから始まる…
若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む2 音楽の歴史というと、音楽の父母であるらしいバッハ・ヘンデルあたり、1700年代の後期バロックから連なる西ヨーロッパの大作曲家の作品群を連想してしまう。また知識の範囲が特定地域と特定時代に偏ってしまっている…
若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む1 本書は「入門」というタイトルが付けられているが、その網羅する範囲は極めて広く且つかなり深い。およそ世界中で演奏されている楽器を全て紹介しようと試みているかのようです。 この手の図書に出くわした時、私の…
田中優子「江戸の音」を読む 広辞苑によると音楽は「音による芸術」。ここからはボクの理解だけど、音楽のうち西洋の片隅で進化発展した表現は、理路整然とリズム・メロディー・ハーモニーを奏で、世界中を圧倒的している。ベリーによる開国以降の日本も圧倒…
田勢康弘「島倉千代子という人生」を読む2 島倉千代子は色紙に「まず 動け」と書く。およそ流行歌手らしくない。けれど芸能界の荒波を乗り越えてきた芯の強さが感じられる。 天才少女歌手美空ひばりに憧れて(歌手になってからも島倉はずっと「ひばり先輩」を…
田勢康弘「島倉千代子という人生」を読む1 昭和29年コロムビア歌謡コンクールでの優勝をきっかけに歌手デビューしている。そのコンクールで歌った曲が「涙のグラス」。鳴海日出夫という男性歌手の歌であった。東京地区予選で優勝した時、作曲家万城目正は「…
古賀慎一郎「ちあきなおみ 沈黙の理由」を読む2 本書は、夫でありマネージャーであり社長である郷さんの闘病と癌の進行を、付き人目線で綴っている。夫婦の近くに見舞いに訪れる宍戸錠が登場する。郷さんの実兄なのだ。邪推に過ぎないが、夫婦二人の強過ぎる…
古賀慎一郎「ちあきなおみ 沈黙の理由」を読む1 筆者は8年間ちあきなおみの付き人をしていた人。ちあきなおみのパートナーである郷さんとの思い出や仕事上の失敗談を語っている。 ちあきなおみが「朝日のあたる家」をマイクなしで歌う場面が出てくる。YouTub…
近藤勝重「昭和歌謡は終わらない」を読む3 美空ひばり、俳優畑から石原裕次郎に高倉健、ちあきなおみ、北島三郎・・と昭和歌謡史を彩る歌手の思い出を語っていく。紹介される歌は、すぐに口ずさむことができるし、声や歌い回しも思い出せる。これが昭和歌謡…
近藤勝重「昭和歌謡は終わらない」を読む2 コロナ禍以来、電車やバスの窓が少し開いている。けれど元々は下から上に大きく開いて、旅行中は車内から駅弁を買っていたものだ。駅のプラットホームは今も昔もわかれの場だけれど、汽車なら間に合うのに電車は無…
近藤勝重「昭和歌謡は終わらない」を読む1 話は、石川さゆりの「天城越え」からスタートする。改めて歌詞を読むと何ともおどろおどろしい言葉が並んでいる。心の底に渦舞く情念を歌い上げる演歌は、やはり個人芸だと思う。せいぜいデュエットか? 日本の歌は…
残る作品、残る演奏 小船先生が横浜国大で講義されていた頃と、私の学生時代は被っていそうなのだが、残念ながら受講した経験がない。教員として初めて着任した横浜市立深谷小学校の校歌が小船先生の作曲であり、当時音楽室の黒板には小船先生の自筆譜が消さ…
和田美代子「声のなんでも小事典」を読む 小事典となっているが、声に関するQ&Aを71項目列挙して、声に関する疑問や悩みについて解説していく仕組み。ボク的にはつまみ食い的に、気になった項目について手を伸ばしてみたい。 NHKに「おかあさんといっしょ」…
ジェームス・M・バーダマン、村田薫「ロックを生んだアメリカ南部」を読む3 教会とゴスペルの章を経て、本はカントリーミュージックへ。郷愁を歌った田舎とはどんなところだったのでしょう? 洋酒好きならバーボンを飲んだことがある人は多いでしょう。トウ…