オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ブラームスの合唱曲にひたる 第一夜

まずは作品74と29の「二つのモテット」を聴き始める。だいたいどんな名曲でも、一回聴いただけでその曲のよさがわかるということ自体が稀有なのだが、私にとってブラームスの合唱曲だけは、どの曲もすぐにそのハーモニーの中に浸れる。随分遠回りをした旅人が、やっと安らぎの地に辿り着いたような心境だ。
二つのモテットに見られるコラールとフーガの組み合わせは、バッハでもおなじみだ。もちろんブラームス自身バッハに学ぶところ大だったろう。ただブラームスのフーガは、バッハのように鋭いリズムを刻みながらテンションを高めるわけではない。あくまでも各パートがたっぷりと歌いながら構成されているフーガなのである。時代を遡り、古いスタイルを借りる手法が、新古典派などと言われる由縁なのだろうが、そこに響いている音楽は紛れもなく、ブラームスにしか書けなかった音楽であり、時代を超えて、人々の心を揺さぶる音楽なのだ。