名作を読む79
ボーモン夫人「美女と野獣」を読む
美しい女性とワイルドな風貌の男性のカップルを、本編のタイトルを借りて「美女と野獣」などと呼ぶことがあるが、それは見かけだけの話で、作者が言いたいのは、もちろん心のあり様なのだ。
それにしても上の姉二人を情けなく描いているのがシンデレラに似ている。姉二人のように、富、知識、名声、美貌…相変わらずこれらの欲に囚われている人々の何と多いことか!人間はどれだけの無駄を費やしていることだろう。
それにしても、野獣に求婚されたベルが、逡巡するくだりは、わからなくはない。何せ相手は野獣ですぞ!だから友だちでいたいと言うのが精一杯だったわけでして。まぁ、ここから先の野獣のベルへの思いが切ないわけで、見せ場なわけです。