オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび246

野村健・納家政嗣「聞き書緒方貞子回顧録」を読む。1

 

緒方貞子さんは、国連難民高等弁務官やJICAのリーダー=理事長としてのイメージが強い方だけれど、この本の前半では学生から研究者であった時代について語られている。二度のアメリカ留学を通して政治思想史や政策形成過程の力学についての研究を深め、その成果として「満州事変とその政策の形成過程」と題する博士論文が書かれる。

ところで緒方貞子さんと言えば、国連で活躍された方という印象が先立つが、国連総会への日本代表団に参加するよう声をかけたのは、市川房江さんだった。

国内にいて感じ考えることと、国連の会議の渦中で取り組まれていることとの落差を述べている。例えば、国連の人権を守る活動については、それぞれの国に歴史上のいろいろな課題があり、例えばイスラエルを巡って、アメリカ対アラブ諸国のような構図に陥りやすい。日本の発信が及び腰であるのは、内政干渉と反発を受けることで躊躇するケースがあったようだ。

やがてユニセフによるカンボジア難民支援の活動に取り組み始めた緒方さんは、ニューヨークやジュネーブと言った会議の場を抜け出して、積極的に現場の実態を見ながら、さまざまな判断を下すようになる。(つづく)