安倍晋三氏は、岸元首相を祖父に、安倍晋太郎元外相を父に持つ。幼い頃の60年安保で祖父がどんな立ち位置にいたか?を記憶しているかは、ともかく。当時の政治の流れを間近に感じながら育ったことは間違いないだろう。父親の安倍晋太郎は、間違いなく総理候補だった。しかし、病に倒れ、神戸製鋼でサラリーマンをしていた晋三が政治家としてデビューすることになる。お膝下は長州藩以来の伝統が感じられる山口県だ。
華々しい活躍が記憶に残るのは、小泉政権当時の官房長官からだろう。若手として抜擢された晋三を、将来総理になる人物と予想した人は多かったと思う。北朝鮮にも小泉首相に随行して行っているのだ。
小泉首相退陣後、総理となり、第1期安倍政権を迎えるが、おそらくは本人も予想していない病魔が彼を襲う。人の運命はわからない。彼は一旦総理の座から身を引くのだ。私はこの時の苦い辛い経験が、現在の安倍首相の原動力となっている気がする。
総理を辞めたり、また再登板したりを繰り返した大物に吉田茂という戦後最大級の大物がいる。吉田茂もエピソードに事欠かない人物だが、経験則を生かしながら、手腕を磨いたように。安倍晋三も経験則を生かしているのである。彼の強くしたたかなリーダーシップは、総理を離れていた時期に蓄えられていたと思う。