オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび348

麻生芳伸編「落語百選」を読む1

 


今までに読んだことがある落語本は、長屋噺、武家噺とかジャンル別になっていて、実際に演者が語る通りに文字に直したもの。林家三平まで出ていて、あの大脱戦ぶりがそのまま記録されている。今回の本は、演者の個性は表に出さないで、元々の噺の筋書きを紹介している。

 


侍の言う台詞が堅苦しくって、違和感・誤解満載の「猫久」。「あ〜ら、我が君」で有名な「たらちね」。落語は原則庶民の目線だから、鼻につく態度を取る武士を内心ではとても軽蔑したり、漢籍の教養がある人を、俺たちはそういう難しいことはわかんねぇや、てやんでえ!と開き直っているわけです。庶民の言葉と武士の使う堅い言い回しの間には、大きなギャップがあったのでしょう。

言葉によるギャップは、ミュージカルでは「マイフェアレディー」の題材にもなっていますが、結構普遍的なズレは身近で起きているように感じています。ポジティブ面では関西弁でしか伝わらないお笑いがあると思いますし、西郷さんを演じる人が標準語で話したら、やはりおかしい。

私たちは、相手が使う言葉によってある特定のイメージを常に作り上げているのですね。