オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび218

石弘之、安田喜憲、湯浅赳男「環境と文明の世界史」を読む1

 

文明。いつだか「シュメール文明」を紹介した本を読み、たしか「オヤジのあくび」にも投稿しました。楔形の人類最古の文字は、シュメールで作られたのだ。けれどもその時は、なぜ周辺地域からどんな人々が何をしにメソポタミアにやって来たのか? それは交易のため、程度の理解だった。本書ははるかに時代を遡り、地球上に現人類と共にまだネアンデールタール人がいた時代から始まる。

文明の定義付けも、定住後の記録=文字の発明にとどまらない視点が感じられる。狩猟、牧畜、農耕、定住の順番という順番が、それぞれの地域によって、位相が異なっていたような話の進め方なのだ。

 

気候変動の時期と牧畜民の移動時期は重なるのでしょうか? 福井県水月湖という湖があり、湖底の藻が水流の影響を受けずに堆積するので、数万年前の気候の状態がわかるらしい。牧畜民は、豊かな草原を求めて移動を続けている。けれど、気候が変動し植生が変われば、今までは立ち寄ることがなかった農耕民の土地へ向かう。肥沃な土地は常に収奪の危機に晒されていたのだ。ローマ帝国とエジプトの関係然り。黄河文明と長江流域の関係然りである。(つづく)