永国淳哉編「ジョン万次郎」を読む1
ジョン万次郎が日本に戻った幕末、彼のアメリカ体験談が、坂本龍馬を含む土佐の志士たちやその後の自由民権運動に影響を与えたという説がある。偶然にも漂流民の万次郎が到着したのがニューイングランドのフェアヘブンであり、現在に至るまで自由を標榜し続けているアメリカという国のもっともルーツである土地(メイフラワー号が到着したすぐ近く)であったことは、とてもラッキーであった。NHKの朝ドラ「らんまん」の中で牧野冨太郎がジョン万次郎と出会う場面が描かれていたが、明治という時代の幕開けの中で土佐がどんな熱気に満ちた地域であったかを伝えたいたと思う。
さて漂流の末。救助された四人の仲間と共に向かったのが、まだカメハメハ王朝時代のハワイ。万次郎はここで船長の誘いにより捕鯨船に乗り込む。当時のアメリカは油を取るために捕鯨をしていたのですね。マッコウクジラの抹香とは脳油の香りだとか。万次郎は南太平洋の島々を航海するわけですが、バリハイ(ミュージカル南太平洋)で有名となったモーレア島にも立ち寄っています。捕鯨船に仕事はきつかったと思われますが、見知らぬ島を巡る喜びもあったのではないでしょうか?
捕鯨船は鯨を追いかけて、何と南氷洋まで進んでいるのですから。巨大生物と言えば大きな亀を捕まえて仲間を感心させたり、人喰い人種の島を訪れたりもしている。
万次郎の人生をなぞれば、この間船長の故郷フェアヘブンのバートレットアカデミーで航海術等の教育を受けている。何と優等生だったというから、知識の吸収力は素晴らしい!
ただそれだけ太平洋を巡りながら、日本にだけは容易に近づけなかった。鎖国の日本側から言えば外国船打ち払い令が出ていたからでして、攘夷ですね。
明日に続きます。