オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

パレストリーナを聴く2

パレストリーナを聴く2

「ミサ ブレヴィス」を聴く

パレストリーナの特徴は、順次進行的な旋律と数本の糸が紐を編み上げていくようなポリフォニーの美しさにある。ホモフォニックな和音の刹那性に比べ、絶え間無く続く和声には持続性が感じられ、中世の教会が最高の評価を与えていた理由も、よくわかる。
またもや、ちょっと昔の話から始まってしまうが、およそ20余り前のこと、県内のとある合唱団から、指揮者としての依頼を受けた。この合唱団の知名度は高く、昭和30年代には、県代表として地方コンクールに連続して出場していた合唱団であり、さらにその前は労音を母体にした大合唱団でもあった。そのような伝統がある合唱団から私ごときにお誘いがかかること自体、怪しい話なのだが、練習会場に足を運んで、即座に納得できた。総勢10人に満たない参加人数だったのである。そのような事態に陥ったのには、当然人間関係絡みのややこしい理由があり、何だか「えらい所」に来てしまったというのが第一印象だった。
10人足らずでピアニストがいるのかさえよくわからない。それまで高田三郎の心の四季を歌っていたので、一つはそれを続けるとして、その人数でも、いやその人数とそのような状態だからこそ歌う価値がある曲として、選んだのが「ミサ ブレヴィス」だった。はじめはポリフォニーに戸惑いを見せていた団員も、少しずつ音楽への浸り方を覚えて、楽しんでもらえるようになってきた。
私がとりわけ好きだったのは、Kyrie,Sanctus,AgnusDei (1の方)で、パレストリーナならではの「究極のポリフォニー」が存分に味わえる。確か公開の場でも演奏した記憶があるが、昔話は、それくらいにしておこう。爺様のように鼻につく昔話を始めるのは、どんなに早くても仕事を辞めてからと予定していたのに、私は早くも爺様の域に達してしまったらしい。
自宅で聴いているCDはウェストミンスター聖堂の合唱団による演奏で、少年たちの子供らしさは幾分残るが、ノンビブラートによる歌声が美しい。





iPadから送信