オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび63

名作を読む34

バルザック作「いなか医者」 

お医者さん兼村長であるブナシスを、騎兵隊の少佐(実はスパイ)が訪ねていく話。

本来は大長編だが、子どもたちのために部分を抜粋して読みやすく変えてある。主人公ブナシスは、伝染病から村人を救うために、転地療養を進めるが、逆に妨害に遭い殺されそうになってしまう。そして、そんなひどい目に遭いながらもこの山あいの村を貧しさから救い出すために村長になって奮闘努力する。初めは疑心暗鬼であった有力者の前村長も利益が得られることが分かると協力するようになる。村人たちと、道を作り、小麦を植え、家畜を飼い肉を食べられるようにする。そして、村人のことを心から心配し導くので、慕われている。作家バルザックが理想としていた人物像がブナシスだろう。

現代は、尊敬とか信頼の対象を見失ってしまうが如き、価値観がフラフラしている時代だが、人の命を必死に救おうとしている人々への尊敬と信頼のを失ってはならないと思う。彼らの大多数は、いなか医者のブナシス同様、名声や財産のために患者に向き合っているのではないのだから。