オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび269

西岡常一・小原二郎「法隆寺を支えた木」2

 

後半は、小原二郎先生の「木」という材料に関わる話。さまざまな分析結果が示されているが、木という生き物の仲間と共に呼吸しながら生きていく日本人の文化が大きく変化していることへ懸念を示されているように感じます。先生は木材等を生物材料と呼んでいるが、一般的に経年劣化すること他の材料と比べ、木は反対に強さを増すことがあるというのは驚きです。法隆寺のヒノキ然りなのです。

石、鉄、木・・それぞれ元々は自然界にあったもの。けれどもプラスチックは明らかに化石を元に人間が創り出した材料だ。エネルギーで言えば、原子力と似ている。元々の自然から大きく逸脱しているのだ。生物としての小ささや目線をどこかに置き忘れ、人間はとてつもなく傲慢な存在になってしまった。まだ私たちより未来に可能性が僅かでも残されているなら、それは生物としてもう一度ベースラインに戻らないとわからないのかもしれない。