オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび622

蛭子能収「ひとりぼっちを笑うな」を読む2

 


本は何でも正直に口に出してしまう蛭子さんが、苦手だと言う食レポの話に続く。そっと一人にしておいてよ! の蛭子さんも自身の漫画を褒められると当たり前だが嬉しいらしい。漫画は読んだ感想が「面白いか、つまらない」に分けやすいのでコメントを伝えやすいのだろう。

ボクが琵琶演奏者が集う会の後に感じることは、とにかくコメントが少ない。どうやら他の師匠のお弟子さんに何かアドバイスめいたことを告げるのが御法度のようだ。批評批判がないところには進歩なしと考えると厳しい。お客様も初めて聴く方は、鑑賞の視点なんてあまりないわけで、せめて聴き方をレクチャーする人がいてもいいんじゃないか? と思う。

さてお金から自由になる話になって、蛭子さんが金の貸し借りが嫌いだと言う。自給自足暮らしでなければ、お金は必要。けれどお金絡みで人々がどれだけ嫌な思いをさせられていることか! この話は「どのくらい物欲から解き放たれるか?」という課題と関連がありそうな気がします。

ひとりぼっちは、言い換えれば「孤独」。俺様は他の人とは違う特別な存在なのに世間から疎外されているという自意識を、蛭子さんは「孤独に酔っている」と指摘しています。ニュースでは孤独酔いによる犯罪が報道されていますが、まったく困ったものです。「みんな違ってみんないい」が誤解されて、自分は人とは違う存在なのだという意識が奇妙な方向に膨らんでしまうのかもしれません。

最後の方では「死」について語っています。

前の奥さんとの死別から、とてつもない孤独感を感じたこと。愛する人と暮らし、できる範囲内で自由に楽しく暮らせればそれでいい。そんな蛭子さんの等身大の生き方は、シャイなオヤジたちにとって「これでいいのだ」の一例になりそうです。

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