オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび653

藤岡換太郎「フォッサマグナ」を読む2

 


フォッサマグナと言えば、糸魚川〜静岡ラインと思っていたのですが、これはあくまでも西側のラインらしい。しかもフォッサマグナの北側と南側では地質が違っていて、北側(大雑把に言って諏訪湖より北)は、日本海のできかたと関係があり、南側は伊豆半島丹沢山塊のできかた=フィリピン海プレートの動きと関係している。さらに西日本から伸びてきた中央構造線フォッサマグナのところで一旦姿を消して、関東山地の東側=下仁田あたりでまた現れる。さらに地下6000mより深いところはわからず、フォッサマグナの深さも現時点ではよくわかっていないと言う。

何だ、わかっていないことだらけじゃん! と思った読者もいるだろう。けれどわかっていないからこそ研究は続くし面白いのですね。地質に興味を持ち続ける動機になるのは、自分の住む土地だと思います。ボクは神奈川県に住んでいるのですが、ご存知の通り相模湾には相模トラフがあり、ここでフィリピン海プレートが沈み込んでいます。けれどそれは現在位置がそうなだけであって、以前は相模川に沿って、さらに昔は多摩川に沿って、プレートが沈み込むラインがあったと説明されています。富士山の右に見えている丹沢山塊も長い間をかけてフィリピン海プレート上を動いてきたのです。なぜこのような地形ができたのか? ちょっとしたロマンに駆られませんか?

続けましょう! プレートテクトニクスで現在の陸地の位置が説明できるようになった後も「プレートを動かす力は何なのか?」ボクはわかっていませんでした。スーパーブルームと言う地下に潜り込んだプレートが、地球の奥深くから再び上昇してエネルギーをもつ。これがプレートを動かしていたのです。だから今の大陸もいずれはまた一つにくっついてしまい、さらにはまた分裂するという循環を繰り返す。著者はこのスーパーブルームが大陸にくっついていた日本列島を動かし、西南日本は時計回りに、東北日本は反時計回りに動いて、その真ん中を突き抜けたのがフォッサマグナだと説明しています。

さらに房総半島の沖に3つのプレートが海溝としてぶつかり合う三重点があるのです。この三重点の存在が日本海側からのエネルギーを受け止めてフォッサマグナが消滅しない理由、さらには日本列島が現在のかたち・位置を維持している理由にもなっていると著者は推論しています。このような特殊な条件が重なってできたフォッサマグナは現時点では世界でただ一つなのです。

日本列島について、知らなかったことを学ぶことができました。

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