まるで音楽の話ではないのだが、21日上田馬之助さんの死去が報じら
れた。我が国の格闘技史上、最高の悪役レスラーであった上田さんの死に
際し、心からご冥福をお祈りしたい。
上田馬之助さんのことで私がすぐ連想してしまうのは、小林まことが描
いた漫画「1・2の三四郎」に出てくる東三四郎の師匠桜五郎のことであ
る。桜は、髪の毛の色こそまだらに染めていないが、風貌と言い、竹刀を
もった悪役ぶりと言い、どう考えても私の中では「桜五郎=上田馬之助」
であった。そもそもこの漫画が、最初にマガジンで連載されていた頃とい
うのは、猪木が上田やタイガー・ジェット・シンと抗争を繰り広げていた
頃ではなかったか?小林まことは、漫画の中で猪木を思わせる新東京プロ
レスの塚原のところへ主人公を弟子入りさせるのではなく、わざわざ悪役
の桜五郎のところへ、押し掛けさせるという設定もとてもおもしろかった
し、プロレスを愛する者の一人として快哉をひそかに叫んでいたものだっ
たのだ。
不世出の悪役レスラー「上田馬之助」について、評伝が出ることはなさ
そうなのだが、プロレスファンは、彼の活躍ぶり(リングを離れてのエピ
ソードも通じて)について決して忘れることはないだろう。合掌。