仏教に取材した漫画と言えば、手塚治虫の「ブッダ」を読んで以来になります。手塚治虫は様々なエピソードを元に彼一流の脚色を施していますが、本書も架空の人物を恋人役や弟子として配置するなど、劇画としての演出を施しているようです。
さてキリスト教のアウグスティヌスが自身の履歴を振り返って、肉欲に支配されていた時期を告白していますが、竜樹も王家の女官に散々な悪行を働いている。このくだりは大いなる反省が次への進歩成長につながると言う暗示でしょうか。
最終章で故郷南インドの王様に戦争を止めるように諌めるのですが、現在戦争をけしかけている国の政治家に読んでほしいと思いました。