20191022
今日は、国の行事として午後から即位礼正殿の儀が執り行われる。陛下が即位を宣言される日だ。誠に目出度い。日本の天皇家がどのような歴史を歩んで来られたのか?について、学ぶまたとない機会でもある。
陛下は、午前中宮中賢所にて、本日即位礼を行われることを、神様=天照大御神他の皆様にご報告される。これはやはり宗教行事と思われる。陛下は日本国憲法上の象徴であられるが、同時に皇室神道を執り行う立場にもいらっしゃるのだ。
この皇室神道が宗教なのか?非宗教なのか?不勉強のせいかどうにもはっきりしない。
明治政府が尊皇思想を拡大して、神道を他宗教の上位に置こうとした国家神道政策は、キリスト教の影響力に対する怖れがあったにせよ、いかにも強引であった。江戸時代より檀家制度により既得権を確保していた仏教勢力が反発に転じたのも無理はない。そして現在まで靖国神社をめぐっては様々な課題がある。
天皇家と宗教の関係は、歴史の変遷と共に変わるが、そもそも仏教をもって、多神教であった日本の信仰をひとまとめにしようとしたのは、飛鳥時代から奈良時代に至る天皇家の目指したところであり、聖徳太子の十七条憲法にも書いてある。ところが同時代に壬申の乱に勝利した天武天皇が伊勢神宮を崇め、古事記の編纂も進められる。どちらが上位とか言ったにしても、やんわりモードだったのだろう。その後神仏が日本という土地に共存するため本地垂迹説が説かれ、神社の中に仏教施設があることに、日本人は全く不思議なイメージを持たなかったのだ。
諸外国を眺めれば、宗教と国家の関係で、まず思い浮かぶのが、イスラム教。始祖ムハンマドはイスラム教による一つの世界を望み描いていたわけで自分自身も戦いの果てにアラビア半島を統一している。だから現在イスラムを信じている人々の国がいくつもあること自体が、本来は矛盾している。
続いてキリスト教。キリスト教が世界宗教になる礎を築いたのはパウロだけれど、世界宗教になる過程で、国家との関係がいつも影響していた。その初めがローマ帝国との関わりだろう。キリスト教は国家と結びつき、ある意味国家に守られ世界宗教へと成長を遂げたのだ。
本来は宗教(とりわけ一神教)はもともと国境・人種・民族・言語をたやすく乗り越えられるわけで、原則的には世界の平和を願っているわけだから戦争が起きるはずなどないのだけど、なぜか歴史上宗教が原因となった国家間の戦争は数多い。
さてシルクロードのどん詰まりに位置する我が列島は、様々な文化が混沌融合している。文字は、中国の文字を基にしたがその後オリジナルのひらがなカタカナができ、さらに日々変化し続けているのは周知の通り。音楽・美術も日本独自に育まれた美しさと外来のものが融合を成している。(音楽は学校教育の影響で少々外来文化が偏重されてきたが…。)私は宗教界も同じだと思う。いろいろな教えが共存していていいのだ。アメリカの現大統領がカトリックの動向を気にしているが、宗教界のことを気にして政治をする必要などないのだ。それが政教分離でしょう?
そして陛下は、混沌とした伝統文化をもつ日本国の象徴でいらっしゃいます。
話を戻しましょう。象徴でありながら神道の宗教行事をも執り行う陛下は、全く大変なのだ。とりわけ宗教行事について、何かしら陛下のご負担を減じる工夫ができないものか?
一国民として案じております。