オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび285

鈴木大拙著 北川桃雄訳「禅と日本文化」を読む4

 


禅と俳句

はじめに加賀千代女の俳句「ほととぎす ほととぎすとて 明けにけり」が引用される。

俳句が直観的理解の反映であり、概念とか理屈とかではないことが、おなじみ芭蕉の「古池や 蛙飛び込む 水の音」で示される。大拙は、この句を創出させている宇宙的無意識に言及する。

そして、散文とは全く対照的な17文字の世界こそが、他の人に元来ある直覚を呼び起こすと言う。

俳句に限らず、国語の授業には解釈が必要とされていて、本書でも名だたる名句に対する解釈が引用されている。けれど千代女の句にしても「釣鐘に とまりて眠る 胡蝶哉」蕪村の句にしても、分析的に状況場面を平易にわかりやすくするという方法を取らない。むしろ作者がどのような無意識のうちに句を詠じたか? に関心をいだく。それって本人でないとわからない、いや本人でさえはっきりとは説明できない類いのことかもしれない。俳句と禅は、そこで通じ合っているのでしょう。