オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび455

坂本龍一「音楽は自由にする」を読む2

 


本はYMOから戦場のメリークリスマスラストエンペラーへと続く。苦労話としてはラストエンペラーでのベルトリッチ監督との作業がおもしろい。そして自分か経験してこなかった音楽を求められた時に、坂本龍一は摩訶不思議な能力を発揮するようだ。

レコードを作る以上、坂本龍一といえども売れて、新しいファン層を広げるミッションを背負っているのだけど、ポップスとして作ったのにセールスは伸びず「エナジーフロー」のようにまるで予期しない曲が売れることに戸惑う気持ちが書かれている。降って湧いたように、気がついたら目の前にある感じ。その曲が好きなのかどうかは自分でもよくわからない。自分ができてしまうことと自分がやりたいことがどうも一致しない場合が多いらしい。これらの言葉は自分を追い込んで音楽を創り続ける人にありがちな話かもしれません。

最後の方で「にほんのうた」やジャンル別音楽史のような「コモンズ・スコラ」への思いが語られている。さまざまな音楽の河を下ってきて、その源流をもう一度確かめたくなったのだろうか? 誇りに思うとか今更熱烈なファンになるわけじゃないけれど、私は結局のところ、40年以上に渡って坂本龍一の音楽をその時代の端々で聴いてきた。それはやはり今を代表する音楽家だったということになるのでしょう。