オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび525

中山千夏「蝶々にエノケン」を読む1

 


回想録は子役時代からスタート。大きなリボンを付けて、目に留まるようにしているうちに映画の字幕に中山千夏の名前が出るようになったらしい。ストーリーの中では「その他大勢」だから、当時の中山千夏目当てに映画を観に来る人はいない。スターとエキストラの差なのだ。

ふと藤沢市の市民オペラに出ていた頃を思い出した。「カルメン」から「ファウスト」「フィガロの結婚」辺りまで参加していたのだけど、ソリストとボクのような合唱メンバーにはプロとアマチュアの差があった。でも内幕を覗いていた楽しさは忘れ難い。その体験に似ているかな?

菊田一夫から舞台で歌う場面をもらい、宇野誠一郎のトレーニングを受けて「ひょっこりひょうたん島」の博士になる。驚いたことにその後中山千夏が声優として大活躍したのは、手塚治虫の「クレオパトラ」と「じゃりんこチエ」くらいしかないのだ。

森繁久彌さん、森光子さん、最近では松本幸四郎さんのように、一つの舞台をライフワークとしてやり続ける生き方と中山千夏のように関心や能力の赴くままに、その時その時の仕事が光り輝く生き方は、好対照を成しているように感じます。

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