オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび563

若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む1

 


本書は「入門」というタイトルが付けられているが、その網羅する範囲は極めて広く且つかなり深い。およそ世界中で演奏されている楽器を全て紹介しようと試みているかのようです。

この手の図書に出くわした時、私の取る読書行動はつまみ食い方式。箱に雑多に詰め込まれたお菓子を、それぞれ少しだけかじってみて美味しいお菓子だけを堪能する。

まずは、弦楽器の話。ドローンと言えば、空中に浮かんで地上に居ては不可能な撮影を助けてくれる機械というイメージですが、元々は雄蜂の羽音を表す単語で音楽では基調持続のことを言います。弦楽器は、爪弾いたり弓で擦ったりして美しい旋律を奏でていますが、古代はドローンを鳴らすお約束があったのですね。

そして琵琶。インドのサラスヴァティの持っているヴィーナという楽器と日本の弁天様が抱えている琵琶の話。そもそも私は弁才天と弁財天の違いがわかっていなかったのだけど、琵琶を持っている神様を弁才天と呼ぶらしい。

インドはとても歴史が古い国だから、寺院に描かれている楽器がヴィーナが多い時代と琵琶が多くなる時代、さらに両方が描かれている時代があるという。結果現在のインドの神様サラスヴァティはヴィーナを抱えているわけだ。

日本の琵琶も雅楽の楽琵琶が、薩摩琵琶や筑前琵琶と関連するのか、実はよくわからない。楽器のルーツを辿るのは、交流ルートとその時代、楽器の受け入れ方とか改良まで深い調査が必要なことが本書を読むとよくわかる。日本には東南アジア方面からヴィーナを受け入れた形跡がないので、弁才天は琵琶を抱えているのですね。

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