オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび575

増本喜久子「雅楽」を読む

 


雅楽と言えば、現代のテンポ・リズム感から遥かに遅い、まったりとした音楽という印象を持たれている方もいるだろう。けれど日々の言葉を発する速さや生活リズムそのものが、元々古代日本では非常にゆっくりしていたわけで、当時の時間の流れを再現していると理解したい。

テンポをリードしているのは鞨鼓(横向きに置かれた小太鼓)。打楽器は他に鉦鼓、太鼓があるが、微妙に変化するテンポは鞨鼓が調整しているらしい。

主旋律を担うのは篳篥と笛。原則同じ音を奏しているかのようで微妙に違うのが面白い。特に興味が湧くのは篳篥でして、他を圧倒する音量なのだ。木管合奏でもオーボエの音が際立つが、同じダブルリードであることと関連があるのだろうか? 実は篳篥の音域は旋律を担う楽器なのに1オクターブ+短3度=Fis〜Aと狭くそのための工夫が本書には書かれていて興味深かった。

さて、楽琵琶の扱いはアルペジオ的な和音伴奏でもいうべき音形を奏でている。この地味な役割は箏も同様なのだけど、後世の進化発展を考えるとホームランバッターにサインが出されてバントしているかのようだ。薩摩琵琶は撥を使って絃を弾くことによって発音するのだが、柱側の指で干押しすることでも音を出せる。本書によると楽琵琶の場合その干押しは余韻とリズムを表現しているのだそうだ。なるほど。

尺八等奈良時代には使われていても、平安時代になって楽器の再編成が進み管弦には使われなくなった楽器がある一方、三味線は奈良時代にはなかった楽器なので雅楽には使われていない。雅楽は日本の器楽合奏の原点であり、1300年近くも形を変えないで引き継がれてきた奇跡なのだ。

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