オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび567

W•T•へーガン「アメリカ・インディアン史」を読む2

 


ハリウッドで製作された映画は、インディアンへの偏見に満ちていて、振り返ると無邪気で考えのない子どもたちに「インディアン=怖い人」という先入観を植え付けていた。ボク自身だってそうだ。マーロン・ブランドアカデミー賞授賞式でインディアンへの差別に抵抗してオスカーを受けたらなかった話が有名だけど、アメリカの有名人たち建国ワシントンや奴隷解放リンカーンたちがインディアンに対して、取った行動は極めて侵略的である。奴隷・黒人に対する差別には向き合うことができていても、インディアンへの対応は、ずっと見て見ぬふりが続いてきたのだ。

アパッチ族ジェロニモ・・西部劇世代には

お馴染みの名前だが、なぜ執拗な抵抗や戦闘を続けていたのか? 提供された保留地の土地の狭さと環境の悪さ、その土地にまで入り込んでくる白人たち、それは彼らの置かれていた境遇を少し調べるだけで容易に理解できるだろう。もちろん襲撃を受けた白人に対して「当然の報い」と、ボクは考えない。しかし多くの命を失わないための知恵や方法が、もっと有効に活用されるべきだったのだ。

第五章で著者はインディアン文化の変容と学校の役割について書いている。白人が学校で教えている内容は学校の中でしか役に立たず、部族の生活に戻ると何に一つ使えないという実態。話が私が末端的に携わっている日本の音楽教育に飛躍するけど、音楽室で教えている歌が子どもたちを取り巻く音楽と、とてもかけ離れていることに似ている。学習の中身は生活とある程度の接点がなければ、なかなか身につかないのだ。

「多様性」「共生社会」。現代のスローガンとも言える方向性は、アメリカ白人のインディアンに対する関わり方から、多くの教訓を学ぶことができる。部族ごとにまったく異なる風習を持つインディアン文化を、一律に定住と農耕に仕向けようとした連邦政府の大失敗は、多様性の保持に必要なスタンスとはどういうことなのかを教えてくれる気がする。

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