オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび604

鎌田實「○に近い△を生きる」〜「正論」や「正解」にだまされるな  を読む

 


この本の冒頭はかなり衝撃的で、18歳の著者が大学進学を巡って父親の首を絞める場面から始まる。別に殺人は至らず、進学は親の支援なしではあるが果たされて、著者は自由を獲得したと書いている。

第一章では、様々な別解的な生き方が紹介されるが、一番頁数を割いているのが、ベースキャンプだと言う結婚(=パートナーとの生活)について。武田鉄矢さんの奥様が「私はあなたのおしめを洗うために結婚した」と言えば、鉄矢さんは「世界中で俺だけが、お前が一番美しかった20歳のころを覚えている」と答える。何だか微笑ましい。

続いて石井光太さんとの対談の中で「現場の文脈」と言う言葉が出てくる。鎌田さんが医療現場で、石井さんが世界中を歩き回って見て来たこと、そして直感的に感じたことが別解を生むと話している。ボクの経験に引き寄せれば教育現場だろうか? 現実にその場に居合わせてみて初めて気づくことは多いはず。教科書通りの一般論では解決できないのだ。

実は3月末学校の非常勤講師を辞めて、6月下旬から不登校生の学習支援に関わっています。学校に行く子を○にしてしまうと、彼らは×になってしまう。ボク自身、学校に身を置いていたので学校に来られるように働きかけていた。けれど不登校は彼らにとっての別解、鎌田さんが言うところの△なのだ。いわゆる競争から彼らの立ち位置は遠いかもしれない。けれど本書でいう「あったかい資本主義」とは、彼らに能力を発揮できる場所を準備できる社会なのだと思う。

戸井十月との交流から、チェ・ゲバラの話題に移り「新しい人間」という言葉が出てくる。12人で2万人の軍隊と戦い、捕虜は医者であるゲバラが治療して釈放するという前代未聞の闘争に勝利し、キューバが建国される。要職に就いたゲバラだが、弱い立場の人々を救う活動に転じ、やがて処刑されてしまう。自由と平等(本書でいう正論や正解)は、皆が求め続けている理想だけど、いくら国家体制や法体系が整えられても最終的に一つの解には辿りつかない。だからこそ別解を探そう。新しい人間とは、理想を追い求めて変化成長を続ける人のことかもしれない。

f:id:hoihoi1956:20240117061404j:image