やなせたかし他「みんなの夢まもるため」を読む2
やなせたかしさんに「ノスタル爺さん」という歌がある。その一節から
人生は 短い
昨日の少年少女も
明日は 爺さん婆さん
またたく間に 過ぎてゆく
それなら 楽しく生きよう
すべての人に やさしくして
やがて煙になって 消えていくのさ
何とこの歌の作曲者および歌手は、やなせたかしさんご自身なのです。CD発売当時オン年84歳! 本人曰くオイドル(老いたアイドル)だそうです。素晴らしい。
これだけ精力的に仕事をされているのだから、さぞや健康と思いきや、ご本人は「ぼくの体は病気の詰め合わせセット」と言う。ちなみにご趣味は新宿のデパ地下巡りだそうな。
それなのにそれなのに、故郷高知県にできたアンパンマンミュージアム、全国高等学校漫画選手権大会「まんが甲子園」、土佐くろしお鉄道での活動・・やなせさんの活動は、もはやとどまるところを知りません。
最終章では、東日本大震災の後に、リスナーの希望でFM放送で「アンパンマンのマーチ」が流れたことを紹介している。
そうだ うれしいんだ
生きる よろこび
多くの人々が圧倒的な自然の力の前に、絶望感に打ちひしがれている状況で「アンパンマンのマーチ」に勇気づけられた人がいたのだ。その後やなせさんは、陸前高田市への支援に力を注ぐことになる。やなせさんを陸前高田市に結びつけたのは、一人の女性ファンの熱意だった。彼女の奇跡の一本松の話を、自分自身の現在と重ね合わせて強く心を動かされたのだ。
やなせさんの詩は、夢や希望だけうたっているわけではない。目を背けてはならない現実もリアルな直視しているのだ。上の歌詞に続く言葉は「たとえ胸の傷がいたんでも」。だからこそ多くの人々の心に言葉が届いているかもしれない。