萩本欽一「欽ちゃんの、ボクはボケない大学生。」を読む2
後期が始まって大学に戻った欽ちゃんは、要領よく立ち回っている学生に、平均点はズルい感じがすると言う。人生は怒られるか褒められるか、将来社会に出てから役立つ武器は、そのどちらかの体験からこそ得られる流ものなのだから・・と。0点を取るにはズルをしない素直さと開き直る度胸が必要だとも言う。
関根勤や小堺一機、見栄晴を例に、短所が長所に変わったときこそ、人が最も力を発揮するとも言っている。
ある日大学キャンパスで就職がきまらなくて浮かない顔をしている4年生と話す。どんな仕事でも自分が面白くしてしまえば、いずれはそれを好きになれる。そう考えるだけで働くことの幅は一気に広がると話す。名司会者の欽ちゃんは、コント55号をやめた時に、どんな仕事でも引き受けるが司会の仕事だけは除きたかったという。だから前例のなかったことだそうだが、欽ちゃんが司会の時には横にアシスタントが付いたのだ。
駒澤大学と駅伝の強豪校として有名ですが、欽ちゃんは大八木監督に呼ばれて駅伝チームのスペシャルサポーターになる。真面目そうな選手たちを前に欽ちゃんは「良い言葉を持ってほしい」と語りかける。ある選手が「長い間第一線を歩く秘訣を教えてください」と質問する。答えとして欽ちゃん曰く「ボクはどんな成功や失敗があっても、次にあれが楽しそうだと心や目を次に向けてきた。そうしたらいつの間にかここまでたどり着いた。」さらに努力のコツとして「周りが自分を見ている」「見られている」という自覚が大切と説く。人は期待されればされるほど努力するという考えなのだ。欽ちゃんが選手に心構えを質問した時、ある選手が「頭を丸めてきました」と答えた。質問と答えとの距離が遠いほど、見ている人は想像力を働かせる。これが今のテレビに足りないと欽ちゃんは言う。
本書は最後に欽ちゃんと大八木監督の対談が掲載されている。強面で選手のことを大声で怒鳴ってばかりいる偏ったイメージがあったけれど、決してそんなことはない学生思いの苦労人であることがわかりました。大八木監督ごめんなさい。