オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび633

パトリック・ハンフリーズ著、野間けい子訳「ボール・サイモン」を読む1

 


トム・グラフとジェリー・ランディス。コンビ名は二人合わせて「トムとジェリー」。ネコとネズミが駆け回るアニメーションではない。16歳のサイモンとガーファンクルが「Hey School girl」という曲を出した時のコンビ名なのだ。ちなみにビルボード最高位54位、売り上げは10万枚だったという。やがてコンビは学校に戻って行き、曲も忘れ去られていく。何よりもサイモン自身が当時の状況をほとんど語っていない。

サイモンのアルバムを聴いて、課題レポートのようだと評している人がいたけれど、サイモンのアルバムにはその都度彼が関心を抱いた音楽を取り込み、彼流に消化している。イギリスのバラッドだったスカボローフェア、インカ音楽のコンドルは飛んでいく、レゲエの母と子の絆、南アフリカのグレイスランド・・それまでのスタイルや評価にこだわらずに、ただ今好きな音楽を歌っている。こんな自由な彼のスタンスがボクは好きだ。ポール・サイモンの音楽を一つのジャンルに定義付けてしまうことは、とても困難だが、それはいつも彼の中に常に混沌とした音楽の鍋料理がいくつも煮込まれているからだろう。

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