オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび638

高野秀行「間違う力」を読む2

 


ラクをするためには努力を惜しまない」で、早大探検部の幹事長になった話が出てくる。(早稲田ではサークルの部長やリーダーのことを幹事長とと呼ぶらしい。ただの幹事だっていいのに)。リーダーを経験することは、メリットがあると思われるが、著者は自分勝手ができることを挙げている。集団行動の目的地や日程・ベースなどを自分に合わせて組めるというのだ。

ふとボクがグリークラブの学生指揮者だった時のことを思い出した。同期のメンバーに比べて少しばかり鍵盤ハーモニカが弾けるというのが、就任理由だった。なった当初は部員がバート練習に勤しんでいる間、ひまを持て余していた。みんなが集まって、いざ合わせとなるとやはり集中しないといけないのだが、何をして待っていたらいいのか? わからなかったのだ。けれど音楽作りについて、かなり自分勝手ができたことは確かでそれなりに楽しく、その後のボクの合唱ライフの根っこになっています。

もう一つ思い出したのが、椎名誠氏による探検もの。椎名氏の著作は実際の体験をデフォルメしている部分がある。それが読者を楽しませているからいいのだが、高野さんの場合は探検そのものがかなり特異で「わしらは怪しい探検隊」などと言わなくても、法の逸脱ギリギリで十分に怪しげなのだ。

本書に話を戻すと「王道」と「奇襲」という言葉が対比されて出てくる。もちろん著者のやっているアプローチは「奇襲」で、学術的な見地からフィールドワークを展開しているのが「王道」。例えば、他人のやらないこと・・が著者のモットーだから、現地の人々とのコミュニケーション手段として共通語や公用語ではなく現地語(方言)を学ぶ。ちなみに彼の卒論はコンゴ人作家による小説の翻訳であります。結果「奇襲」にはリスクやデミリットが伴うというオチが付いてくるが、独自の間合いの詰め方として、ボクは興味深く読みました。

最後の方で、てきとうでも「今、はじめる」ことが大事と書いている。何がにつけておっちょこちょいなボクにはありがたい言葉だ。

そう短い人生、やってみないと始まらない。迷っているうちに終わってしまうことって多いですよね。

正しいかどうかより面白いかどうかで決めること。その通り!

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