「どうしたんだ Hey Hey Baby バッテリーはビンビンだぜ いつものようにキメて ブッ飛ばそうぜ」
何となく気が乗らない時に、上のフレーズを口ずさみ始める友達がいた。RCサクセションの「雨あがりの夜空に」の一節である。
ロックが、いやもっと大きく言って音楽が、人々を元気づける役割を果たしているとすれば、間違いなく忌野清四郎の歌声は、その役割を果たしてきた。聴衆は、彼の声とともにテンションを上げ、いつの間にか総立ちになり、手を振り上げ、さっきまでの憂さはどこへやら、元気120%になってコンサート会場で盛り上がっていたのである。
とげが突き刺さるように気持ちに食い込んでくる歌声が、何よりも大きな魅力だが、時折は耳に馴染みやすいさわやかなロックも聴かせてくれることがある。80年頃の「トランジスタ・ラジオ」などは、そのような曲の一つと言えるだろう。